板橋区医療センター

東京都板橋区 施工|三菱地所ホーム㈱ ソリューション事業部  撮影|平井宏行

設計|岡部克哉

Architect's comment

大きな斜め天井の下で医療施設の潤いを考える

板橋区内の環状7号線から北に50m程度入ったところに建つ健診センターです。

住居系の用途地域なので、周囲は戸建て住宅や低層の集合住宅が建ち並んでいる住宅街となっています。

この住宅地の中に計画地となった約300坪の敷地があります。この敷地の中に築30数年のRC造地上3階建ての建物がありました。

この1階・2階に入居していた健診センターから、手狭になったなどの要望を受け新たに30年の定期借家契約を結び、地主さんが建物を建て替える事になりました。

本計画はこのような背景の上に成り立っています。

朝、夕には、健診センターの駐車場には大小あわせると20台以上となる検診車が所狭しと並びます。

朝、健診に出かけた車が、夕方健診を終えて次々と健診センターに戻ってきます。

各々の健診車からは、採取した血液や撮影したレントゲンのフィルムなどが運び込まれます。

これを仕分けて、専門の各検査機関に検体を置くる配送センター、現像したX線フィルムから画像を読み込む読影室、健診の予約などを担うコールセンターなどの複合的な機能を持つ施設が今回我々の設計した健診センターという施設です。

メインエントランスを入ると受付があり、その奥が待合室兼用のホールとなっています。

その空間の端に3階のラウンジに繋がるシースルーの階段とエレベータが配置されています。

EVの正面でもある階段の直ぐ外にはシンボルツリーとなる株立ちのシャラを植えました。

ホールとラウンジという開かれた2つの大きな空間をつなぐ階段やエレベータで建物を上下に移動する際に、上下階の空間のつながりを意識出来て建物一体感のようなものを感じてもらえ、少しでも建物を使う豊かさにつながる事を期待して設計しました。

健診センターという事もあり、衛生面に対する配慮も重要です。

「お手洗いは心の鏡」という考え方で、お手洗いには使い易さと清潔感を両立させるように配慮しました。

女性用では、お化粧直がし易いように照明計画に配慮し、手洗いにはへパフィルターの入ったエアドライヤ付きのダイソン製の水栓を導入し、衛生面での配慮と清掃性の良さを確保しました。

大きや屋根の下にある3階の勾配(傾斜)天井となっている空間がこの建物の中で一番気持ちの良い場所になっています。高さ3.8Mほどの大きめの窓からは、板橋区や近隣区町村の街並みが広く見渡せます。

一般的に、大きなガラス面があると冷暖房の負荷があがりますが、この建物では軒の出を調整して負荷が高くなることを抑えています。

冬至・夏至・春分秋分の各時間帯に、この窓からどの程度の日射があるかをシミュレーションして、冬至では、日中直射日光が室内に落ちるようにして、夏至では午前10時以降は直射日光が室内に入らないように軒の出を設計して、建物の省エネルギー化を目指しています。

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